Melemedy

こころとからだを調律する Music reiki therapy

おもひでぽろぽろり

ばななさんの『どくだみちゃんとふしばなちゃん』を読んでいて思い出したことがある。

 

私が子供のころ、

まだ日本の雰囲気がこんなにどんよりしてなかった頃、

毎年お正月に祖母とうちの家族で旅行をしていた。

 

元旦は家族で過ごして、二日は祖母の家に近所に住む親戚が集まって、わいわい過ごして、

次の日から旅行に出るという夢のような日々を毎年過ごしていた。

 

 

私が小学校5年生位の時だったかなぁ。

二日の日に、祖母の家で飲むだけでは足らない男衆が、近所の酒場で二次会三次会をして、夜中にぐでぐでになった父が帰宅した。

 

突然階段で物凄い、ガタガタン!という音がした。

父が足を踏み外し、階段から落ち、階段脇に飾ってあった写真立てのガラスに頭を打って、物凄い血が噴き出したのだった。

入浴中だった母がビショビショのまま救急車に連絡して、

慌てて父と病院に行った。

 

私と弟は階段下に広がった血の海をぼーっと見つめて、

とりあえず雑巾で拭こう!

と頑張っていた所に近くに住む祖母がやってきて、私達の面倒を見てくれた。

 

その時飼っていた犬が異常事態に興奮して、ものすごく吠えて、

それにビビった弟が泣きながら

「サンディ吠えないでよぉぉ。おとおさん死んじゃうかもしれないんだからぁ」

と言っていた。

 

周りが騒がしいと逆に冷静になれるもので、「おいおい勝手に殺すなよ」と突っ込みながら、掃除をしていた。

 

だいぶ遅くなって両親が帰宅し、

結果父も無事で、13針頭を縫っただけで済んだ。

 

安心して私が寝ようとリビングを出た時、まだお酒が残っていたんだろうな。

父が母にごめんねーと謝りながら、ハグしていて、母も子どもをあやすように父の背中をとんとんしていて、

私は二人のハグを見たのは最初で最後だったから、あの景色はとても大変だったけど幸せな景色だったんだなぁと思い出す。

 

勿論正月旅行は全部キャンセル。

母がキャンセルの連絡をして、

父は申し訳ないから今までないくらい私と弟の面倒をよく見てくれて、

テレビもつまらないし、

やることも将棋ぐらいで(笑)

 

でも陽だまりの中、ぼんやりみんなで暇な時間を過ごすのは凄く幸せで楽しかった。

 

どの正月旅行も記憶にないのに、

あの時のことはよーく覚えている。

 

多分、何処かに行くことが幸せなんじゃなくて、

みんなでゆっくりただ過ごすことが私には幸せだったんだなぁと思う。

私は父にもっと構ってほしかったし、

母にも甘えたかった。

 

その頃は、そんな事を言葉にする力は無かったし、

あんなに家族が密で過ごした事はあの後ほぼなくなってしまったけど、

私にもあったんだなぁ。

幸せな家族の時間。

 

ないと思ってた(笑)

 

これだけあればもう大丈夫かも。

クリーニングはするけど、でも、思い出を掘り起こしてくれるばななさんの文章はやっぱり素敵で凄いなぁ。

ありがたや。